● 地域の現状・課題
・太田川しじみを守る会が活動する場所は、太田川下流の感潮域である5本の市内派川で、そこに生息するヤマトシジミは、川底がきれいなため殻が黄金色をしており、「太田川しじみ」の愛称で親しまれてきた。
・太田川しじみの漁獲量は、1995年の約300トンをピークに、現在では100kg以下まで落ち込んでいる。
・漁獲量減少には、様々な要因が考えられているが、中でも問題となっているのは、クロダイ等による食害であり、これに伴い、母貝の不足や稚貝供給量の低下等が起きている。
太田川のヤマトシジミ
太田川のシジミ漁獲量
● 活動の内容
・機能発揮のための生物移植
塩ビ管を河床に設置し、その中にシジミの母貝を入れて保護することで、クロダイ等による食害を防ぎ、産卵数を増加させることにより、稚貝が河床に沈着することを促進させている。
・機能低下を招く生物の除去
刺網等を用いて、クロダイ等を除去している。捕獲したクロダイの胃内容物を調査した結果、
砕かれたシジミの殻が観察されている。
・モニタリング
資源量の経年変化を調べ、取組の結果を評価している。
機能発揮のための生物移植
機能低下を招く生物の除去(魚類)
モニタリング
● 活動の効果
・生物移植については、200本以上の塩ビ管を河床に設置し、「シジミ母貝団地」を造成しているが、降雨による河川の増水に伴い、塩ビ管からのシジミの流出や塩ビ管への覆砂等が起きている。まとまった降雨による出水が頻発している近年の河川において、母貝団地をいかに安定的に保持するかが課題である。
・生物の除去については、刺網と電気ショッカーを併用して実施している。一定数の除去はできているものの、除去後も海域からシジミの生息域へクロダイは遊泳してくるため、苦慮している。
・モニタリングの結果、資源量は低水準に推移しており、増加傾向は未だ見られていない。