太田川しじみを守る会(広島県広島市)

● 活動項目

干潟等の保全

● 組織の構成

漁業者、広島市内水面漁協、株式会社アクアネット、NPO法人雁木組(16名)

● 地域の現状・課題

・太田川しじみを守る会が活動する場所は、太田川下流の感潮域である5本の市内派川で、そこに生息するヤマトシジミは、川底がきれいなため殻が黄金色をしており、「太田川しじみ」の愛称で親しまれてきた。

・太田川しじみの漁獲量は、1995年の約300トンをピークに、現在では100kg以下まで落ち込んでいる。

・漁獲量減少には、様々な要因が考えられているが、中でも問題となっているのは、クロダイ等による食害であり、これに伴い、母貝の不足や稚貝供給量の低下等が起きている。

太田川のヤマトシジミ

太田川のシジミ漁獲量

● 活動の内容

・機能発揮のための生物移植
 塩ビ管を河床に設置し、その中にシジミの母貝を入れて保護することで、クロダイ等による食害を防ぎ、産卵数を増加させることにより、稚貝が河床に沈着することを促進させている。

・機能低下を招く生物の除去
 刺網等を用いて、クロダイ等を除去している。捕獲したクロダイの胃内容物を調査した結果、
砕かれたシジミの殻が観察されている。

・モニタリング
 資源量の経年変化を調べ、取組の結果を評価している。

機能発揮のための生物移植

機能低下を招く生物の除去(魚類)

モニタリング

● 活動の効果

・生物移植については、200本以上の塩ビ管を河床に設置し、「シジミ母貝団地」を造成しているが、降雨による河川の増水に伴い、塩ビ管からのシジミの流出や塩ビ管への覆砂等が起きている。まとまった降雨による出水が頻発している近年の河川において、母貝団地をいかに安定的に保持するかが課題である。

・生物の除去については、刺網と電気ショッカーを併用して実施している。一定数の除去はできているものの、除去後も海域からシジミの生息域へクロダイは遊泳してくるため、苦慮している。

・モニタリングの結果、資源量は低水準に推移しており、増加傾向は未だ見られていない。