● 地域の現状・課題
- 当該組織の活動場所は山口県南西部に位置し、響灘に面している。
- 地区の主な漁業は素潜りによる採貝藻で、アワビやサザエ、ウニ、ナマコなどを漁獲している。
- これら磯根資源を育む藻場は地区漁業にとって重要な生産基盤であり、当地区の藻場は主にカジメ類(アラメおよびツルアラメ)やホンダワラ類で構成されている。
- 平成元年頃には337haに及ぶ藻場が広がっていたが、平成25年の高水温により藻場は大きく衰退し、アワビ、サザエなどの磯根資源にも悪影響を及ぼしている。
- 採貝藻を中心とする地区の漁業にとってアワビ・サザエ・ウニなどは重要な水産資源であり、これらの生産基盤となる藻場の再生が強く求められている。
ひびき地区におけるアワビ漁獲量の推移
● 活動の内容
- 平成25年に組織を設立し、藻場の再生、特にカジメ類の回復の促進を目的に以下の活動を実施している。
- 母藻の投入
市が購入・配布する隠岐諸島産のアラメ母藻を使用している。網袋に成熟した母藻と石を入れ、かつてアラメが繁茂していた場所に投入している。用いる母藻の量は150kg程度で、年間に100~150袋を投入している。 - ウニ類の除去
母藻投入エリアにおいて、ムラサキウニやガンガゼを除去している。素潜りで手鉤により除去しており、除去したウニ類はある程度風化するまで野積みにし、その後、畑の肥料にするなど適正に処分している。
母藻の投入作業
ウニ類の除去作業
● 活動の効果
- 平成25年度には猛暑でカジメ類がほぼ消滅してしまったが、藻場の保全活動を実施したことにより平成28年度冬季にはホンダワラ類や小型海藻だけでなく、カジメ類の繁茂も確認されるようになり、平成30年度には被度が50%を超えた。
- なお、令和元年度には高水温や暖冬による食害増加によるものかは不明だが、ホンダワラ類や小型海藻が優占し、被度も40%に落ち込んでしまった。
- 大型海藻類は増加傾向にあるものの、カジメ場の再生はまだ十分ではない。今後も、カジメ場を回復促進するための効果的な手法を検討しながら活動を継続していく。
海藻類の平均被度の推移(2月モニタリング結果)
カジメ類の生育状況