● 地域の現状・課題
- 宇部岬地区は山口県南西部に位置し、周防灘(瀬戸内海)に面している。
- 主な漁業として、海苔養殖小型底曳き網や流し刺網のほか、ミルクイやナミガイ(白ミル)を対象とした潜水採貝漁も行われている。
- 山口県内では餌料環境の変化や乱獲、ナルトビエイの食害などによりアサリの漁獲量が大きく減少した。
- 当該地区のある地先でも、平成14年頃からナルトビエイが増加し、アサリやナミガイといった二枚貝類が食害されて問題となっている。
- そこで、二枚貝類の資源回復を目的にナルトビエイ駆除の活動を行うことにした。

捕獲されたナルトビエイ
● 活動の内容
- ナルトビエイ駆除は、長さ270~360m、高さ4~6m、目合16cmの流し刺網を使用し、来遊の増える6月頃に実施している。
- 山口県の仲介により、餌料用魚粉製造会社の協力が得られており、駆除したナルトビエイを魚粉原料として利用・処理している。
- また、モニタリングとして、流し刺網操業中にナルトビエイの来遊状況を、ヘルメット潜水によりナミガイ等二枚貝類の分布状況などを確認している。
- その他、県内水産高校の見学学習を受け入れており、ナルトビエイ駆除の様子を見てもらっている。

流し刺網によるナルトビエイの駆除

駆除されたナルトビエイ

ナルトビエイの処理(運搬前に裁断などの処理を行う)

ヘルメット潜水によるモニタリング
● 活動の効果
- 活動を行っていることにより、ナミガイ等二枚貝類の生物量は200個体/㎡ほどが維持されている。
- 年間150~350尾ほどのナルトビエイを駆除しており、約1.8~5.8トンが餌料用魚粉の原料として利用されている。
- 当該組織の活動は、二枚貝類の食害対策だけでなく、廃棄物となる有害生物も有効利用できる効率的な取り組みとなっている。

二枚貝類の生物量の推移

ナルトビエイの駆除重量の推移