柳井藻場保全グループ(山口県柳井市)

● 活動項目

藻場の保全

● 組織の構成

漁業者、山口県漁協柳井支店(28名)

● 地域の現状・課題

  • 当活動組織の活動場所である柳井湾は、広島湾と周防灘の境にある。潮流が速く、周辺海域よりも水温が低いのが特徴となっている。
  • 当地区の漁業者は、昔から魚類等の生育場となるアマモ場を大事にしてきた。そのため、現在もアマモが協同漁業権魚種に設定され、採取が制限されている。
  • 当地区のアマモは多年生であり、周年群落が形成されている。しかし、平成18年にアマモが消失した地区があったため、危機感を感じた漁業者たちが平成19年よりアマモ場の保全活動を開始した。
  • 平成25年度から「柳井藻場保全グループ」を設立し、播種を中心とした活動を引き継ぎ、継続している。

活動海域

活動場所のアマモ場

● 活動の内容

  • 当活動組織の目的は、播種を中心とした活動によりアマモ場の拡大を図り、当海域の水産資源を増大することにある。
  • 主な活動は、花枝の採取により得た種の播種である。活動当初はアマモマット等の資材を導入して播種を行ったが、手間がかかり、効果も限定的であった。そのため、当活動組織となってからは、冬季夜間の干潮時に波浪影響が少ない場所を探し、直接土中に播種する方法に変更した。
  • また、海の環境や漁業への理解増進を図るために、活動当初より中学校と協同でアマモの花枝採取や生物観察会を行ってきた。平成25年度以降も本事業とは別の取り組みとして継続しており、現在は、小学校、中学校、高校と連携して、生物観察会、アマモ花枝採取、魚調理教室などを行っている。

採取した花枝の管理

花枝から得た種の選別

● 活動の効果

  • 直接土中に播種する方法にしてからは、場所による差はあるものの、一定の成果が表れている。
  • 活動を実施したことにより、近年(平成28~30年度)のアマモ場被度は一定の数値を維持することができた。
  • 今後も、他地区の事例を参考にするなど、活動内容の改善を図りながらアマモ場の保全を図っていきたい。
  • また、子供たちを対象にした理解増進の取り組みでは、活動を通してより海が身近なものになったと考えている。高校での魚調理教室では、放課後の自由時間にもかかわらず多くの学生が自主的に参加しており、好評であった。
  • 保全活動を行うにあたり、環境教育や食育活動の果たす役割は大きいと考えており、今後も子供たちとの共同作業に積極的に取り組んでいきたい。