● 地域の現状・課題
・神代地区は広島湾口部付近に位置し、海岸線には前浜干潟が広がっている。干潟の前面にはアマモ場が形成され、30~40 年前までは漁船の航行に弊害を及ぼすほどアマモが繁茂していた。
・平成初頭に、アマモ場が減少し、平成16 年の大型の台風18 号襲来を契機に激減した。
・地区内の漁業は、刺網や1本釣、カゴなどの小型の沿岸漁業が主体となっており、藻場の衰退による水産資源の減少が懸念され、その回復が求められている。
・アマモ場の回復を図るためには、専門的な知識と技術が必要であることから、アマモ場造成に精通した宇部工業高等専門学校と民間企業の協力を得ながら、活動を進めている。
前浜干潟
● 活動の内容
・現存するアマモ場から栄養株や花枝を採取し、アマモ消失場所へ移植・播種を行うことでアマモ場の回復を促進し、それを成育場とする魚介類の増殖を促すことを目的にしている。
・アマモ場の再生方法は、定着が早く、成果の確認が行いやすい「移植」をメインとし、栄養株を沈めるための重石は、石よりも比重が大きく、鉄材などより安価に入手できる転炉系製鋼スラグを活用した。
・アマモの播種の方法は、海底に溝を掘り、その中に種を埋めていく直播方式で実施した。
麻シートでアマモとスラグを包む
播種は溝の中に直播
● 活動の効果
・アマモの移植は5~6月頃に実施しており、これまで年間に2,000~9,000株ほど移植してきた。その結果、年々アマモ場の面積は増加しており、平成30年7月には活動開始前の約3倍となる6,800㎡まで拡大した。
平成23年10月
平成30年10月
アマモ場面積の推移