日和佐藻場再生委員会(徳島県美波町)

● 活動項目

藻場の保全

● 組織の構成

漁業者、日和佐町漁協、海達(32名)(サポーター:徳島県水産研究課)

● 地域の現状・課題

  • 日和佐地区は徳島県の南東部に位置し、太平洋に面している。
  • 当地区ではイセエビの資源管理に力を入れたことにより、平成25年度よりイセエビ類の生産額が増加に転じた実績がある。
  • イセエビに続いて沿岸漁業の振興策を検討していたところ、アワビなどが減少しており、貝類の餌や稚魚の成育場となる藻場が衰退していることが注目された。
  • 藻場の衰退は水温の上昇や生き物による食害、台風の激化、廃水による汚染、栄養塩不足など多様な要因が考えられるため、原因究明しながら藻場の保全に取り組むことにした。

食害調査により食害を受けた海藻

● 活動の内容

  • 活動組織には海士を中心にした漁業者や漁協職員のほか、ダイビング業者も含まれており、ボランティアダイバーの協力も得ながら活動を実施している。
  • 活動は平成30年度から開始しているが、平成29年度には予備調査を行い、徳島県水産研究課の指導の下で活動を展開している。また、アワビ稚貝の放流など他事業とも連携をとりながら活動を進めている。
  • 主な取り組みは海藻の種苗投入であり、ワイヤーブラシで岩盤清掃した場所にアラメなどのスポアバッグを設置しているほか、ワカメロープを設置することにより生長したワカメからの種苗供給を促進している。
  • 活動当初は多年生であるアラメやカジメの再生を目指していたが、魚類による食害が激しいため、短期間でも多量に生育するワカメを中心に再生を図っている。

スポアバッグの準備と岩盤清掃の様子

設置したスポアバッグとワカメロープの様子

● 活動の効果

  • 活動場所ではサンゴモ類などの着生が多く、活動開始からの日も浅いため、明確な成果はまだ得られていない。
  • ただし、令和元年の初夏にかけては海藻類の幼体が確認されたという漁業者からの情報があったことから、種苗投入に重点を置いた活動を実施しており、今後の成果に期待したい。
  • 当初、漁業者はダイバーの関与を拒んでいたが、一緒に活動することで信頼関係が構築され、漁業者とダイバーが連携した前向きな活動が行えている。

モニタリング状況(サンゴモ類が多い)