● 地域の現状・課題
・鴨庄地区は香川県東部に位置し、深く湾入した志度湾に面しており、カキ、ハマチ、海苔などの養殖業が盛んである。
・一方で、市街地に近く、湾入した地形のためにゴミが多く堆積し、鴨庄漁協は市や県と共同で清掃活動を実施してきた。
・また、湾に流入する鴨部川河口域では、砂の堆積、ゴミの埋没による硫化水素の発生、貧栄養化などの問題が生じており、アマモ場の縮小やアサリの減少などが目立つようになった。
・悪化した環境を改善し、かつての海岸を取り戻すことを目的として平成25年度に当該組織を設立し、アマモ場や干潟の保全、海の清掃活動を開始した。
鴨庄地区の活動海域
● 活動の内容
・「アマモ場の保全」は、施肥を行うことにより貧栄養化を改善し、アマモ場の維持回復を目的としている。平成27年度までは養豚屎尿を原料とした液肥を用いていたが、運搬費用の問題により、平成28年度からは硫安(窒素肥料)に変更した。また、平成25年度より、冬季の下水処理場の放流水の硝化抑制処理をしている。
・「干潟の保全」は、人力や耕うん機による耕うんを行い、底質環境を改善している。
・「海の清掃」は、海岸の漂着ゴミの他、漁船で漂流ゴミや海底の堆積ゴミを回収している。
施肥に用いた硫安
耕うん
漂着ゴミの回収
海底堆積ゴミの回収
● 活動の効果
・「アマモ場の保全」では、施肥を行ったことにより、全てのモニタリング地点(5点)でアマモの生育が確認できており、施肥がアマモ場造成にとって有効であったと考えられる。
・活動内容についても、施肥のみではなく、播種や移植などの実施も検討したい。
・「干潟の保全」では、耕うんを行ったことにより、モニタリング地点(3点)でのアサリの採捕量が0.3kg(平成28年度)から0.7kg(平成29年度)に増加した。
・「漂流、漂着物、堆積物処理」では、ゴミの回収・処理を行ったことにより、鴨庄周辺海域のゴミは減少している。
・漂流ゴミが減少することにより、スクリューにゴミが巻き込まれるなどの漁船の損傷が少なくなった。また、漁業者一人一人の意識が向上し、普段の操業時にもゴミを回収するようになった。