● 地域の現状・課題
- 手結地区は高知県の東側に位置しており、土佐湾に面している。
- 当海域には1990年代までは高知県を代表するカジメ海中林が形成されていたが、2000年代に入って海中林は衰退し、現在は卓状サンゴ群集に置き変わってしまった。
- 藻場衰退の要因として、一般的に言われる海水温の上昇などが考えられているが、多数生息するウニ類や藻食性魚類なども藻場の再生を妨げる要因の一つとなっている。
藻場が衰退した海底とウニ類
● 活動の内容
- サンゴの無い場所は磯焼け状態であり、そのような場所に藻場の生態系を再生することを目的に活動を開始した。
- 再生に取り組む海藻はかつて繁茂していたカジメに限らず、現在の環境で生息できる種で藻場の再生を目指している。
- 海底に多数のウニ類が生息していたことから、活動の内容はウニ類の除去を中心として、藻食性魚類の除去や母藻設置により藻場の再生を促進することにした。
- ウニ類の除去は6~11月頃に素潜りや潜水により実施している。
- 藻食性魚類の除去はかご漁で、母藻設置はスポアバッグ方式で実施した。
● 活動の効果
- ウニ類の除去は平成28~30年度にかけて年間に延べ10~35人により実施し、1人が1日当たり平均850個体程度を除去した。
- 未だに海藻の被度はほとんど増加していないが、場所によってはテングサ類がいくらか生育する様子が確認できた。
- かご漁による魚類除去では藻食性魚類以外が多く捕獲されるため、ヤスなどによる直接除去など、方法を検討しながら活動を進める必要がある。
- 今後も藻場の再生を目指し、ウニ類除去を中心とした藻場の保全活動を継続する。
モニタリングの様子