川漁を伝承する会(高知県四万十町)

● 活動項目

内水面生態系の維持・保全・改善

● 組織の構成

漁業者、四万十川上流淡水漁協、地域住民(95名)(サポーター:四万十川財団)

● 地域の現状・課題

  • 日本最後の清流と称される四万十川は、流域1市4町に跨がる全長196kmの四国1位の河川である。
  • 四万十川には、豊かな自然環境に加え、沈下橋など特有の景観やアユの友釣りを楽しみに多くの観光客が訪れる。また、魚種の多さと水産資源の豊富さで、川漁師が現存する数少ない川の一つにもなっている。
  • 一方で、農業濁水による水の汚濁やゴミの投棄など、河川環境や景観の保全に悪影響を与える問題が、現在、生じている。
  • また、ツルヨシ等の大量繁茂による親水性の劣化、山の荒廃による支流の谷川の崩壊などの課題も生じており、その対策が求められる。

● 活動の内容

  • 人で賑わう美しい清流”四万十川”を保つため、また、アユなどの魚が躍る川を維持保全するために、漁協と漁業者が中心となり、平成25年度に当会を設立した。
  • 活動の目的は、豊かな清流”四万十川”の環境や景観を維持保全することと、次世代の若者たちに清流の保全に係る活動を継承することにある。具体的な活動の内容は、以下のとおりである。
  • ツルヨシ等の刈り取り:ツルヨシ等が大量繁茂する場所で、定期的(年5回)に刈り取りを行い、親水性の確保を図る。また、刈り取ったツルヨシ等は適正に焼却もしくはたい肥化する。
  • 清掃活動:河川区域内に投棄されるゴミや堆積する流木を回収し、処分する。

● 活動の効果

  • 継続的な草刈り(ツルヨシ等の刈り取り)や清掃活動に取り組むことで、景観や河川空間を利用するための親水性が改善した。また、そのことによって、河川に訪れる人の環境保全に係る意識の高まりが認められ、ゴミの量が年々減少している。
  • 当該活動にあわせて、水生生物のモニタリングを行い、川の水質を監視している。平成29年度と30年度の結果を比較すると、きれいさレベル5以上の指標生物の割合がやや増加傾向にあり、引き続きモニタリングを行っていく予定としている。
  • 大きな課題である農業濁水(水田の代掻きによる)については、当該保全活動を進めるにつれて農業者の河川環境に対する意識が変わりつつある。今後も、河川環境の保全活動に努め、流域住民への理解を深めていきたいと思う。