● 地域の現状・課題
・窪津地区は、高知県南西部にある足摺半島の東岸に位置し、土佐湾に面している。
・40年ほど前までは地区の沿岸にガラモ場が広がっていたが、近年は減少して、磯焼けの状態が続いている。
・ブダイなどの植食性魚類をはじめ、ウニ類やアメフラシの食害が藻場の回復を妨げており、この対策が喫緊の課題となっている。
・トコブシやアワビなどの貝類、アオリイカなど、多くの魚介類の成育場となる藻場の回復を目的に、平成25年度に当該組織を設立して、藻場の保全活動を行うことにした。
食害されたカジメ
アメフラシによる食害
● 活動の内容
・母藻の設置と食害生物の除去をメインに活動を展開している。
・母藻の設置はヒロメ(5月)、ヨレモクモドキ(7月)、カジメ(9・10月)、トゲモク(11・12月)を利用しており、それぞれの成熟時期に合わせて活動を行っている。ヒロメは延縄方式で、カジメやホンダワラ類は主にスポアバッグ方式で設置している。
・食害生物の除去はウニ類と植食性魚類を対象に実施している。ウニ類は素潜りにより水中で潰し、植食性魚類は刺網により除去している。
ヒロメの設置
ヨレモクモドキの設置
ウニ類の除去
除去した魚類
● 活動の効果
・活動を行ったことにより、ウニ類は減少したように感じられ、平成29年度にはホンダワラ類が繁茂する様子が見られた。
・ただし、季節的な変化が大きく、明確な成果を表すことができていないため、定量的な評価方法を確立する必要がある。
・魚類(主にブダイ)による食害が多いため、今後も活動を継続する。また、カジメ等が芽生える春季にはアメフラシによる食害があり、対策を図る必要がある。
・秋には地元の親子20名ほどが参加する体験学習会を開催しており、藻場の機能や組織の取り組みについての講習会のほか、母藻の設置や魚類駆除を実際に体験してもらった。
体験学習会(魚類除去)の様子