● 地域の現状・課題
- 室戸市は高知県の南東部に位置しており、活動海域のある東海岸は太平洋に面している。
- 元来、この地域はトコブシなどを中心とする採介漁業が盛んであったが、20~25年ほど前からカジメやホンダワラなどの海藻類が減少し、トコブシも少なくなってしまった。
- また、近年まで漁獲できていたテングサ類も著しく減少している。
- 海藻類が減少した要因の一つとして、海水温の上昇や、それに伴い増加した藻食性魚類による影響が考えられている。
- そこで、藻場の再生を目指し、藻場の保全活動を実施することにした。

海域の様子
● 活動の内容
- 藻場の再生を目的に、藻食性魚類の駆除と母藻の設置を主な活動としている。
- 藻食性魚類の駆除は建網により行っており、毎年10~2月の間に3~5回程度実施している。
- 母藻の設置は高知県内で得られたホンダワラ類、カジメ、アラメなどを用いており、コンクリートプレートにスポアバッグを取り付けて海底に設置している。
- なお、波あたりが非常に強い海域のため、消波堤などによって波浪が弱められた場所を活動場所としている。

建網による藻食性魚類の駆除

母藻(スポアバッグ)の設置
● 活動の効果
- 建網により藻食性魚類であるブダイ、アイゴ、ニザダイ、イスズミ、メジナ、タカノハダイなどを駆除することができた。
- 母藻設置したホンダワラ類やカジメが繁茂する様子はいまだに確認できていないが、これまであまりなかった小型藻類の繁茂が見られるようになった。
- 今後も、食害の影響を考慮して藻食性魚類の駆除を行うとともに、これまでの結果を踏まえて母藻設置や種苗投入の方法を検討しながら活動を継続する。

駆除した藻食性魚類など

設置したスポアバッグの様子