● 地域の現状・課題
- 小長井中央地区は有明海の西部に面しており、諫早湾の潮受け堤防が比較的近い場所にある。
- 有明海では富栄養化などの理由から赤潮や貧酸素水塊などの問題が生じており、沿岸の漁業に影響を及ぼしている。
- 当該地区においても、主力であった地まき式のアサリ養殖が低迷しており、環境の改善が求められている。
- 環境を改善するために干潟の保全活動を行っており、アサリなど二枚貝の資源量回復を目標としている。
活動を行っている干潟(土嚢の設置状況)
● 活動の内容
- 干潟の保全活動として、砂泥の移動防止や死殻の除去、有害生物の除去、浮遊・堆積物の除去などを実施している。
- 砂泥の移動防止として、土嚢を作成して干潟に設置している。なお、客土・耕うんなどは他の事業で実施しているため、土嚢設置に注力し、アサリ稚貝の定着に注目している。
- 死殻の除去として、アサリやカキ・シオフキの貝殻も土嚢に詰めて処理しており、貝殻を詰めた土嚢も砂泥の移動防止として干潟に設置している。
- 有害生物の除去として、海底を覆ってしまうホトトギスガイや、二枚貝を食害するツメタガイ(卵塊含む)、アカニシ、ヒトデを土嚢に詰めて、埋没処理している。
- 浮遊・堆積物の除去として、漂着したゴミ類や流木などを回収・処理している。
- その他にも、地域住民(子供含む)を対象に干潟保全活動などについての学習会や、海難救助訓練として救命救急訓練などを実施している。
土嚢づくりの様子
モニタリング(コドラート採取)の様子
流木などの除去
学習会の様子
● 活動の効果
- アサリの生物量は、平成28年度には1,052個体/㎡あったが、平成29・30年度には大きく減少してしまった。
- これは、豪雨によって流木やゴミ等が活動地区を覆ってしまったことや、夏期の高水温などが影響した可能性が考えられる。
- 減少したアサリ資源を回復するためにも、今後も活動を継続し、干潟環境の保全を図る必要がある。
- 学習会のアンケート結果からは、参加者の干潟の保全などについての理解が向上した様子が窺えた。
アサリ生物量の推移
学習会後に行う子供たちとの海岸清掃