● 地域の現状・課題
- 大島地区は西彼杵半島北西部に位置し、五島灘に面している。
- 過去には多年生の大型褐藻類であるクロメやホンダワラ類等が混生する四季藻場が形成されていたが、平成元年ごろから海藻の減少が目立ちはじめ、平成5年ごろにはクロメも確認できない状態となり、ホンダワラ類については、アカモクなどの種に組成が変化し、規模が縮小する傾向となり、沿岸一帯が磯焼け状態である。
- 地区では磯焼けの進行に伴い、アワビ類の水揚げが減少するなど漁業経営に大きな影響を及ぼしている。
磯焼け状態の海底(H26.6月)
● 活動の内容
- 磯焼けで衰退した藻場の再生を目的に、平成21年度に会を設立し、以下の活動を実施している。
- 母藻の設置は地区に生育するアカモクやマメタワラを採取し、スポアバックで設置している。
- 地区に育成するアカモク母藻を近隣地域へ供給し、広域的な春藻場造成に取り組んでいる。
- 潜水等によるウニ類(ムラサキウニ、ガンガゼ)の除去やウニハードルによる保護区域の設定を行なっている。
- その他、藻場に関する教育・学習として、近隣小学校で講演を行っている。
アカモク母藻の設置
近隣小学校での教育・学習
● 活動の効果
- 海藻類の被度が40~60%ほど(平成29・30年度)で春藻場が形成されるようになり、活動の効果が現れつつある。
- 地区のアワビ漁獲量は平成16年度以降、一定の水準で推移しており、アワビ資源の減少を抑制する効果が伺える。
- 今後も藻場の保全活動を継続するとともに、専門家と相談しながら活動の効率化を図る。
再生した春藻場(H28.6月)