● 地域の現状・課題
- 佐世保市南部地区は大村湾北部に位置しており、南側は大村湾、西側は佐世保湾に面している。
- 主な漁業として、一本釣りや刺網、エビ漕ぎ網、二艘曳網、雑魚籠などが行われているが、近年は全体的に水揚げが減少している。
- 漁場環境の改善や水産資源の回復が求められており、平成28年度より、海底耕うんや種苗放流などの活動を実施することにした。
海岸に堆積した流木など
● 活動の内容
- 主な活動として、海底耕うん、浮遊・堆積物の除去、カサゴの種苗放流を実施している。
- 海底耕うんは貝桁網により行っており、1日に7時間、年間に延べ25~40隻ほどが実施している。
- 浮遊・堆積物の除去は、海底耕うん時に除去した海底ゴミのほか、海岸に流れ着いた流木や流れ藻などを除去しており、除去したものは産業廃棄物として処理している。
- カサゴの種苗放流は平成29年度より実施しており、全長50mmの種苗を購入し、年間41,000尾程度を放流している。
- その他にも、海難救助訓練として、消防署員を講師とした救命講習なども行っている。
貝桁網を使用した海底耕うん
海底耕うんに使用した貝桁網
流木や流れ藻の除去
カサゴの種苗放流
● 活動の効果
- アサリの生物量が少しずつ増加しており、海底耕うんや浮遊・堆積物の除去によって、底質改善などの効果が徐々に表れ始めている可能性がある。
- アマモの増加も確認されており、近隣の漁協が流れ藻の花枝を採取しに来るようになった。
- カサゴについては、雑魚籠による捕獲モニタリングを開始したばかりではあるが(平均0.9個体/籠)、漁業者は放流によって資源量が増加したことを実感している。
アサリ密度の経年変化
モニタリングで採取したアサリ稚貝