● 地域の現状・課題
- 大村湾は全国でも有数の閉鎖性の強い海域である。
- 特に湾奥部では都市化の影響を受けやすく、CODの環境基準値超過、貧酸素水塊の発生など、厳しい漁場環境にある。
- これまでも各地区で様々な取り組みが行われてきたが、大村湾の共同漁業権区域以外についても底質改善に取り組みたいという要望が上がり、大村湾周辺の漁協が協働で海底耕うんの取り組みを実施することにした。
海底耕うんの活動範囲(黄丸で囲まれた範囲)と底質モニタリング位置(ピンク丸)
● 活動の内容
- 底質を改善し、貧酸素水塊の発生を抑えることでマナマコなど大村湾の水産資源を回復することを目標に、平成29年度から大村湾中央部の海底耕うんに取り組んでいる。
- 海底耕うんは2~3月の期間に10日間程度実施しており、平成29~30年度には延べ405~486隻が作業を行った。
- 作業には海底耕うん用の桁(1.8×2.2m、50kg)を用い、1日に8時間ほど実施した。
- その他にも、小学校や中学校などを対象に環境学習を実施しており、大村湾の環境や、海底耕うん・種苗放流といった環境保全活動についての講義を行った。
海底耕うんに使用した桁
海底耕うんの実施状況
複数の船による海底耕うんの様子
小学校での環境学習
● 活動の効果
- 11月に実施したモニタリング(試験操業)では、大村湾のマナマコの資源量は587,430~1,367,460個体と推定され、年によるばらつきもあるが、平成30年度には増加していた。
- 耕うん前後で底質のモニタリングを行っているが、現状では底質(COD、硫化物、強熱減量)に大きな変化は見られなかった。
- 活動を開始してまだ年月が浅く、明確な成果は得られていないが、これからの成果に期待したい。
- 当該組織は9市町をまたいで複数の漁協で組織されているため、連携の強化を図りながら、海底耕うんの活動を継続していく。
大村湾のマナマコの推定資源量
底質の経年変化(硫化物)