崎山地区活動組織(長崎県五島市)

● 活動項目

藻場の保全 他

● 組織の構成

漁業者、五島ふくえ漁協(50名)

● 地域の現状・課題

・崎山地区は、五島列島福江島の東側の位置にあり、五島灘に面している。全国屈指の好漁場で、一本釣りやひき縄、刺網、延縄など多種多様な漁業が行われている。

・地先沿岸には、岩礁帯が広がり、かつては大規模なガラモ場やガラモ・アラメ(カジメ)の混生藻場が形成されていた。

・しかし、平成10年前後から藻場が急激に減少し、磯焼けが進行した。また、大人から子どもまで町民一体で収穫していた産品「ヒジキ」も平成22年には消滅し、藻場の回復が地区全体の大きな課題となった。

活動位置

崎山地区におけるヒジキ生産量の推移

● 活動の内容

・H24年以降、「離島漁業再生支援交付金事業」を活用し、簡易な金網をヒジキの幼体に被せて食害から保護する試験や延縄式の海藻育成試験を実施し、藻場の回復を阻害する主な要因が魚類による食害であることをつきとめた。

・H26年に、食害防止用の仕切り網を設置し、一定規模の藻場の回復を図った。

・H28年度から仕切り網設置区域の拡大を図り、藻場回復に向けた取り組みを本格化した。

・H30年以降、「水産多面的機能発揮対策事業」を活用し、ヒジキ藻場の拡大に努めている。

金網を用いた試験

延縄式の海藻育成試験

仕切り網の設置(H26)

仕切り網の本格実施(H28)

● 活動の効果

・H24年から仮説・検証を進めながら取り組みを行い、H27年に仕切り網による藻場の回復技術を確立した。そして、H28年にその取り組みを本格実施したことによって、ヒジキ群落が、H29年に0.5ha、H30年に0.8ha形成された。

・形成されたヒジキ群落では、イカ類(アオリイカ等)の産卵が確認され、藻場の再生による水産資源の回復が期待できた。H30年には、かつて地元中学生の部費の資金源の一つとして行われていた行事「ヒジキ採り」を小規模ではあるが、10年ぶりに再開することができた。こうした社会貢献も大きな成果の一つである。

アオリイカの産卵

ヒジキ採り

ヒジキ群落の面積