● 地域の現状・課題
・鏡町地区は八代海北東部の湾奥に位置する。
・当地区には氷川や大鞘川など複数の河川が流れ、その河口には広大な干潟が発達する。
・干潟には様々な生き物が生息し、そのうちアサリは漁業資源として利用されてきた。しかし、平成24年の九州北部豪雨により干潟が淡水被害等によって壊滅的な被害を受け、アサリ資源も大きく減少し、それ以降、水揚げも無くなり大きな課題となった。
・減少したアサリ資源の回復が求められたことから、平成25年度に当該組織を設立し、干潟等の保全活動を展開している。
活動で設置した被覆網(保護区域)
● 活動の内容
・平成25~27年度は、耕うん、ケアシェルの設置、食害生物の除去、稚貝の沈着促進(着底基質)、被覆網の設置(保護区域の設定)を行ったが、局所的な取り組みであり、干潟全体での成果には至らなかった。
・平成28年度以降は、魚類等による食害対策として有効な被覆網の設置に注力し、規模を拡大し、資源の回復を図ることにした。
・被覆網の設置は、稚貝の発生が認められる地区から重点的に開始した。
・なお、食害生物の除去など、他の項目についても必要に応じて実施した。
被覆網の清掃
除去した食害生物(ツメタガイの卵)
● 活動の効果
・被覆網設置前は小型のアサリしか確認できなかったが、被覆網を設置したことにより、成長したアサリが被覆網内で確認されるようになった。
・個体数は被覆網外で128個体/㎡だったのに対し、被覆網内では1,392個体/㎡であり、網の内外で10倍以上の密度差が示された。
・平成24~28年にアサリの漁獲は無かったが、平成29年度に約3トン、平成30年に約34トンまで漁獲が回復し、活動の効果が現れてきた。
・被覆網を拡大したことによりメンテナンスの労力が増大したことや、ツメタガイの仲間であるゴマフダマが増加していることが今後懸念され、その対策に係る検討を進める必要がある。
被覆網内外でのアサリ個体数の比較(平成29年5月)