宇佐干潟保全の会(大分県宇佐市)

● 活動項目

干潟等の保全

● 組織の構成

漁業者、大分県漁協宇佐支店(163名)

● 地域の現状・課題

・宇佐地区は、大分県北部地域に位置し、周防灘にある豊前海に面している。地先には、広大な干潟が広がり、その干潟や浅場を利用した底びき網、刺網、採貝、定置網、カゴ漁、またノリ養殖などが営まれている。地区の干潟は、アサリやハマグリが生息し、漁業だけでなく、地域住民などの潮干がり場としても広く知られている。

・近年、豊前海を含む周防灘全体の干潟において、アサリやハマグリの漁獲量が大きく落ち込み、地区のアサリ漁業も大きく低迷している。親貝不足で稚貝供給量が少ない現状においては、特に着底した稚貝の食害や強波浪による洗掘・流失死亡による減耗を低減させ、少しでも親貝を増やす対策が喫緊の課題となっている。

豊前海におけるアサリ漁獲量の推移

● 活動の内容

・減少したアサリ資源の再生を目的に、漁業者主体の「宇佐干潟保全の会」を平成21 年度に結成し、県の普及指導員や市の林業水産課のサポートを得ながら活動を進めている。

・干潟地盤の硬化を防ぐために、耕うん活動を行い、貝類等が潜砂しやすい状態にしている。

・親貝が不足していることから、他県産の成貝を移植して補う「母貝の移植」を実施している。

・移植した親貝や産卵によって着底した稚貝が食害や砂の移動で死滅しないように、被覆網を設置し、保護・育成を図っている。

噴流式大型耕うん

ポンプ式耕うん

アサリの母貝移植

被覆網による保護・育成

● 活動の効果

・アサリ生息密度は、被覆網区で113~288個/㎡と高く、次いで耕うんのみ区が25個/㎡で続いた。対策を行っていない対照区では本種の生息が認められないことから、活動の効果が特に被覆網区で高いと評価できた(平成30年11月調査結果)。また、被覆網下では自然に着底した稚貝の成長も確認されており、資源の回復が期待される。

・豊前海におけるアサリ資源は、卓越年級群の発生によって急激に回復する場合がある。この発生を促すためにも、今後も被覆網を活用した母貝の保護に努める必要がある。

対策区及び対照区のアサリ生息密度の比較(平成30 年11 月調査結果)