国見地区藻場干潟保全活動組織(大分県国東市国見町)

● 活動項目

藻場の保全 他

● 組織の構成

漁業者、大分県漁協国見支店(27名)

● 地域の現状・課題

・国見地区は大分県の北東部、国東半島の北部に位置し、伊予灘に面している。

・ワカメ、ヒジキ、タコ等の特産物があり、潮の干満を利用する伝統的漁法の建干し網漁が知られている。

・近年藻場面積の減少傾向に伴い、ワカメ、ヒジキを始め、アワビ、サザエ、ウニ等の磯根資源が減少した。

・藻場の回復には、食害生物(ウニ)の除去や岩盤清掃などの対策が必要であり、これら活動を継続的に行う組織が求められた。

・また、活動地区には干潟も広がっており、これまで藻場と干潟が混在する豊かな生態系が形成されてきた。しかし、長期的な環境の変化によって、干潟上には浮泥の堆積が見られるようになった。

・これらの環境悪化に伴い、アワビやサザエ、アサリといった漁獲対象資源が減少傾向にあり、藻場・干潟の環境保全が求められている。

海藻が減少した海底と食害生物(ムラサキウニ)

● 活動の内容

・藻場の再生・維持及び干潟環境の回復のために組織を設立し、以下の活動を行っている。

・食害生物除去(ウニ類):ムラサキウニを対象とし、スクーバ潜水および素潜りで除去・回収。

・岩盤清掃:大潮干潮時に、陸上よりケレン棒などを使用して付着生物を剥離。

・モニタリング:モニタリング定点全15地点で海藻種および被度の観察。

・浮遊・堆積物の除去:干潮時に合わせ、消波ブロック付近に漂着・堆積したゴミ類を回収、分別、運搬し処理。

・干潟の保全活動:干潟の耕うんとアサリ母貝(他海域産)の放流を実施している。

ムラサキウニの除去

岩盤清掃

浮遊・堆積物の除去

干潟の耕うんとアサリ母貝の放流

● 活動の効果

・減少していたワカメやヒジキが増加しており、活動の成果が表れてきている。

・主な海藻類としてワカメやヒジキ、ウミトラノオなどの大型海藻が優占種となった。

・ただし、ワカメやヒジキは夏~秋には減少することから、今後、近年減少しているクロメ(多年生)の増加を図る必要がある。

・干潟については、耕うんによって環境が改善されつつあるものの、アサリ資源量の増加にはいまだ繋がっておらず、活動を継続するとともに原因を究明する必要がある。

増加したワカメとヒジキ