● 地域の現状・課題
・いちき串木野市は東シナ海に面し、鹿児島県北西部にある日本三大砂丘のひとつ「吹上浜」の北端に位置している。
・昭和63年度から平成4年度に実施された環境庁の調査では、ガラモ場、ワカメ場、アオサ・アオノリ場が152haほど形成されていたが、平成10年前後から藻場が徐々に減少し始め、現在では消失し、まさに「磯焼け」状態となった。
・その対策が求められたため、平成21年度から市内4漁協合同の組織を設立し、藻場の保全活動を開始した。

● 活動の内容
・母藻の設置…ヒジキの母藻を50mのロープに挟み込む方式により、4漁協に各1ヶ所ずつ設置している。
・海藻の種苗投入…ワカメの種糸を50mのロープに巻き付け、4漁協に各1ヶ所ずつ設置している。また、「かごしま豊かな海づくり協会」が種苗生産したホンダワラ類の種苗が着床している藻場ブロックを各漁協18枚ずつ、計72枚を推進2~3mに設置している。
・アマモの播種…毎年10月下旬、市内小学校5年生の漁業についての体験学習の一環として、アマモの生育や役割についての勉強会と併せて漁業者と一緒にヤシマットにアマモの種子を塗り付ける作業を行い、市内4漁協に各1ヶ所ずつ設置している。勉強会後の生徒へのアンケートでは、理解度は9割弱に達している。
・食害生物の除去…ウニ類の除去作業は素潜りによって採捕を行い、年間4トンのウニ類を地元農家へ有機質肥料の材料として無償提供している。また、魚類の除去作業では、刺し網によるアイゴ、ブダイ等の除去を実施している。

母藻の設置(ヒジキ母藻)

海藻の種苗投入(藻場プレート)

アマモの播種(アマモシートつくり体験学習)

食害生物の除去(ウニ駆除)
● 活動の効果
・令和元年度のモニタリングの結果、19定点の目視および写真等での景観被度は平均23.4%であった。
・一部の岩礁域には、テーブルサンゴと海藻の混成区域が広がる一方、ヤツマタモク等の温帯性種やキレバモクやフタエモク等の亜熱帯性種が優先するガラモ場が見られるようになった。
・保全活動を行った結果、藻場が少しずつではあるものの回復しつつあると判断しているが、今後はウニ類や魚類の食害生物対策が重要であると考えている。


モニタリング結果