あいら藻場・干潟再生協議会(鹿児島県姶良市)

● 活動項目

藻場の保全 ほか

● 組織の構成

鹿児島県漁業協同組合錦海支所、NPO法人くすの木自然館ほか(131名)

● 地域の現状・課題

  • 当会の拠点である姶良市は、鹿児島県中央部に位置し、その南東部を鹿児島湾(錦江湾)に面している。かつて、当地区の海岸は潮干狩りで賑わい、漁業者にとっても貴重な収入源となっていた。また、豊かな藻場(アマモ場)も存在し、漁港周辺では船のスクリューにも絡まるほどであったと言われている。

  • しかし、平成5年8月の豪雨災害による泥の堆積によって二枚貝資源が大きく減少し、その後の資源回復もナルトビエイやクロダイなどの食害が原因で抑制されており、その対策が喫緊の課題となっている。アマモ場に関しても、地球温暖化に伴う海水温の上昇による生育環境の悪化や、アイゴやメジナなどの植食動物の摂餌行動の活発化などの影響により、その範囲が衰退・減少(磯焼け)している。鹿児島湾内のアマモは全て一年生の生活史を有していると言われており、その一年生アマモ場の保全に適用できる技術・手法の開発が課題となっている。

かつては潮干狩りで賑わった姶良地区の海岸

● 活動の内容

  • 組織の活動としては、藻場(アマモ)や干潟等の保全のほか、姶良市沿岸の漂流・漂着ゴミの除去を行っている。

  • 干潟等の保全では、軽石・礫・貝殻を入れた網袋に稚貝を着底させる方式を採用し、アサリの稚貝の沈着促進を行っている。併せて、トラクターによる耕うんによって二枚貝を捕食するツメタガイやトミガイの駆除を行ったり、刺網によるエイ類の駆除を行ったりしている。

  • 藻場の保全では、採取した種子の播種に紙粘土を活用し、芽が出るまでの波浪による種子の流出を防ぐ手法を取り入れているほか、播種・発芽後の波除けの効果を期待してU字溝を設置した区画を設け、その個数や向きによる効果を調査している。播種後は、月に2回ほどのペースでモニタリングを行い、被度を計測している。また、藻場の保全においては、令和6年度からは多様な主体と連携した活動を進めていくことを目的として、文部科学省によるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校である県立国分高等学校の生徒にも活動に参加してもらっている。

紙粘土によるアマモの播種

● 活動の効果

  • 干潟等の保全においては、これの活動により平成30年度にはアサリの推定資源量が飛躍的に増加したが、ここ数年はまた資源量が減少しつつある。エイやトミガイなどアサリに対して害となる生物の除去は継続して続けているものの、特に網袋の掘り起こしについて、非常に重労働であることや、猛暑である夏季の出水期での活動の減少に伴い充実した活動が難しい現状にあることから、省力化の手法などを検討しながら、根気よく活動を継続する必要がある。

  • 藻場の保全においては、地道な活動の効果もあり順調にアマモを維持・再生してきたが、令和3年1月末の季節外れの大時化により群落一帯が壊滅的な被害を受けてしまった。現在は、紙粘土を活用した播種やU字溝を使用した波浪対策(前述)、播種を行う箇所の水深や底質の検討を行うなど、磯焼けしている箇所を再生するため、サポート専門家の協力もいただきながら活動を進めている。

干潟の保全におけるアサリの袋網

一時的に再生したアマモ場とアオリイカの卵塊(R4.4.18撮影)