高山磯焼対策チーム(鹿児島県肝付町)

● 活動項目

藻場の保全

● 組織の構成

漁業者、高山漁協、肝付町役場(27名)(サポーター:サポート専門家)

● 地域の現状・課題

  • 高山地区は、大隅半島南東部にある肝付町に位置しており、志布志湾に面している。
  • 主な漁業は定置網と養殖だが、近年は磯焼けなど藻場の衰退により、定置網の漁獲量は平成5年をピークに減少傾向にある。
  • 鹿児島県の実施した調査では、磯焼けが継続する最大の要因はウニ類の過剰な食圧であると判断されており、ウニ類の駆除と藻場の再生が喫緊の課題となっている。
  • 平成18年からウニ類の駆除などの活動を継続してきたが、平成25年より当該組織を設立し、ウニ類の駆除のほか、藻場回復の取り組みを実施している。

ウニ類の食圧により磯焼け状態の海底

● 活動の内容

  • 藻場の保全活動として、ウニ類の除去、母藻の設置、海藻の種苗投入を行っている。
  • ウニ類の除去は、潜水および素潜りにより水中でウニ類をつぶしている。
  • 母藻の設置は、刈り取った天然母藻のほか、流れ藻となったホンダワラ類を回収し、スポアバックに入れて設置している。
  • 海藻の種苗投入は、購入したホンダワラ類種苗ブロックを港内などに設置しているほか、ワカメ種糸をロープに巻き付けて投入している。

潜水によるウニ類の駆除

ホンダワラ類の流れ藻採集

ホンダワラ類種苗ブロックの設置

種苗投入に使用したワカメ種糸

● 活動の効果

  • 活動の成果として、被度25%未満の点生藻場や小型海藻の藻場を再生することができた。
  • 海藻が増え始めたことにより、イセエビが確認できるようになってきており、今後、大型海藻の藻場を再生することにより、イセエビやアワビ、サザエなどの磯根資源の回復にもつなげていきたい。
  • 今後の目標として、多様なホンダワラ類を移植することで、海域に適応したガラモ場の拡大を図る。
  • また、活動初期には先進地区に視察研修に赴いていたが、平成30年度には他地区の視察研修を迎え入れるまでに進歩しており、活動の自信につながっている。

再生した小型海藻藻場

海藻が増えたことにより確認されたイセエビ